East African Fever

東アフリカに恋して20年。ウガンダ獣医としてのあれこれ。ブログ名は東アフリカが大好きで中毒化しちゃって離れたくなってしまった人たちが罹る架空の疾病名。

国際協力とフライドチキン

外回りに出る前に、朝から実験を頑張ってた女子スタッフから

「お腹空いた…」と言われた。

よし!おばちゃんがなんか買うて来るわ!と約束して出発。

 

銀行と業者を回ってオフィスに戻る前、ケンタッキーに寄った。

ああ、何人か学生もいたしな・・・。

1人分のランチじゃなくて

11本入りのバーレル(って死語?)でも買ってってやるか。

ついでに外回りに付き合ってくれたドライバーにもチキン2本とポテトを買って

ありがとね~、お昼遅くなったけどこれ食べて!と渡した。

 

これが…ドライバー仲間の間では騒ぎとなった。

なにお前ケンタッキーなんか食ってんの?(高いから彼らは自分では買えない)
え?ドクターが買ってくれたって?やっぱり二人は付き合っている?
(30歳も年下の男子と付き合うほど元気じゃない)

ガイジンが俺らドライバーにチキンのランチをおごってくれるだと?有り得ん!

なんか彼女の弱みでも握ってるんじゃないのか?

などなど。

もみくちゃにされたっぽい(笑)

 

うんうん、ありがとう、盛り上がってくれて。
買った甲斐があった。

もちろん女子スタッフと学生も11本のチキンで相当盛り上がっていた。

おばちゃん、またバーレル買うたるわ。

後日、改めていかにドライバー仲間でケンタッキーチキンが盛り上がったか聞いた私は
わかった!ドライバーたちにも買ってあげよう!と言ってしまった。

みんなの前でチキン食べてて王様になった気分だったけど、

ホントはみんなで一緒に食べたいよね、ちょっと罪悪感が…なんて聞いたら

おばちゃん魂はぐらんぐらん揺さぶられるではないか。

チキン2本でそこまで盛り上がるとは!

 

1回30円程度の運賃の乗客を日に何度も何度も乗せて

時にはそれさえ値切られて

雨が降ってる間は商売ができず

晴れてるときは暑さにへばり

貧困を抜け出せないと言いつつ家族も養っている彼らの内の数人を

20ドルで王様気分にできるなら悔いはない。

頑張ってる彼らに、たまにはそんな楽しみがあってもいじゃない?

 

そこで昨日のお昼時、代表格のドライバーに25ドル程度を渡した。

「これでチキン買ってみんなで分けてよ。ちょうどお昼だし」

ドライバーはキラキラした目で「ありがとう!」というと

疾風のごとくお金とともに走り去った。

 

夕方興奮気味のドライバーから報告を受ける。

いやいやいや、今日はすごいお昼だった、みんな感動してた、と。

結局チキンはどこで買ったの?と聞くと、

 

実は俺たち全員で話し合ったんだ。

チキンは11本しか買えない。

11人が1本ずつのチキンを食べるだけになる。

嬉しいけどお腹は満たされない。

でも同じ金額を俺らの食堂で使えば20人がお腹いっぱいランチを食べられる!

・・・満場一致だったそうだ。

 

私は彼らが普段食べられない豪華なケンタッキーチキンを食べて欲しかった。

でも彼らは豪華なチキンを少人数で1本ずつ食べるよりも

みんなで目の前にある普段のご飯をお腹いっぱい食べたかったのだ。

 

なるほど。なるほど。

これは国際協力に相通ずる。(無理やり?)

日本政府は豪華な橋を架けてあげよう!とウガンダ政府に言う。

しかしウガンダの村長さん達100人を集めて聞くと、

一か所に豪華な橋を架けるよりも、俺たちの村1つ1つに

小さな学校を建てて欲しいです!と全員に言われるのに似てる。(ホントか?)

 

もちろんみんなで話し合って出した答えがいつも一致するわけではない。

でもこちらの思惑とは違う答えが出ても、同じ金額で彼らがハッピーになれるなら

出来ればそれを選択して行けたらいいのに…なんて思った。

そして私もたった25ドルで事の真髄(大袈裟)に気づかせてもらえてありがたい。

 

やっぱり現場の声って大事だわ。

ニッチな知識

ゴリラの傷の手当…という、一生?日の目を見なそうな
ピンポイント過ぎる授業に出てみました。

 

実際に聴講してみたら、ゴリラだけじゃなくて色んな傷の治療方法の授業でしたが

人間のお医者さんが講師だったので、ウガンダの獣医学生には新鮮だったかも。

しかもお茶とオヤツとランチとお土産の縫合練習用布付き。

 

私は講義を聴く為というより野次馬的な参加でしたが、

カンパラ近辺の臨床獣医が集まるので、同窓会的にもなかなか楽しめました。

 

国で唯一の獣医学部の有る大学にレントゲンが無いというお粗末なレベルのウガンダ

でもだんだん小動物の病院のレベルが上がってきてます。

頑張れよーなんて上から目線だった時代はすぐに終わりそう。

うかうかしてられませんな。

 

可愛げってなんだっけなんだっけ

若い世代のお友達と話してて思う。

〇〇なことが嫌いでしたくない、人に頼りたくない、弱みを見せたくない、って。

ああ、自分もそうだったけなぁ…と。

 

頼っていいよ!と言われても

「自分は大丈夫です」

と言い切ることが偉いと信じてたあの頃。

 

自分は大丈夫です!と言い切るのに酔いしれてて

救いの手を差し伸べたのに振り払われちゃった人の気持ちなんて

若い頃は気づけないんだよね。

 

社会って自分一人の意志じゃ何も回って行かない。

頑張るのは大事だけど、人とシェアする部分はあってもいい。

弱みを見せるのが嫌で、助けなんて必要ない!って気持ちを貫きたいのなら

自分に手を差し伸べたい人に

「私を助けさせてあげるチャンス」

を与えてあげるって考えたらどうだろう。

ちょっと尊大な考えかもしれないけど。

 

「手伝おうか?」って言ってる時点で、その人は助ける気があるわけだから

「え?いいんですか?助かります。ありがとうございます!」

って返ってくることで、その人は報われる。

人に頼りたくないのなら、

人に自分を助けるチャンスを与える…って考えたら、

伸びてきた救いの手を素直に握り返すことができるんじゃないだろうか。

 

強いんです、平気なんです、放っておいてくださいって主張して、

得するのは一体誰?

一人でやりきった時の満足感は手に入るかも。

でも一人でやらない方が、周りにとって、もっといい成果が出たかもしれない。

 

差し伸べられた手を握り返して、その人と一緒に何かを乗り越えて

「ああ、おかげで助かりました!(ニッコリ)」

って言って分かち合った方が、周りも気分が良かろう…と思うんだよね。

 

そしてその「手を握り返す行為」が「可愛げ」って呼ばれるものでもあって、

その可愛げってものがどれだけ社会の潤滑油になってるか…

と気づくのは随分年取ってからかもしれないけど。

バイバイ、コロナ

1月24日に2年近く続いたCurfew=夜間外出禁止令が明けた。

営業を停止されていたバーやサウナや映画館等の営業再開許可と

なにより大きいのは学校の再開。

2年間学校に行けなかった子供たちがようやく学校に戻れる。

ウガンダ全体が安堵の深呼吸をしたように感じた。

市民の重要な足であるバイクタクシー(ボダボダ)だけは

「犯罪に使われる可能性が高い」

という理由で移動は7時までという制約が残ったけど。

確かに最近の窃盗もテロも、ボダボダを使ったものが多い。

 

それからゆっくりゆっくり、運動不足だった身体をストレッチするように
町が徐々に徐々に息吹を取り戻して行った。
繁華街のカバラガラもCurfew明けは寂しいものだったけど
ようやく元気を取り戻しつつある。

2月になって追いかけるようにボダボダの夜間移動禁止令も撤廃された。
そりゃそうだ。
バーは開いたけどボダボダが使えないんじゃ、バーでで飲んだお客さんの帰る足がないもの。

ボダボダ業界、これで元気を取り戻すね。

良かったよ。

 

今日久しぶりにカンパラ⇔ジンジャバイパスを通った。

ん?あれれ?

不景気で貧困が進んで窃盗が増えて治安の悪化が…なんて声をよく聞くけど

バイパス沿い、随分栄えてるよ?!

空き地だった場所に新しいお店がバンバン建ってる。

お金、あるところにはあるみたい。

 

そう、お金はあるところにはあるのだ。

 

なんにせよ、カンパラの街行く人はマスク越しではない空気を胸いっぱい吸い込み、
コロナに別れを告げた。

もう変な変異株、出ないでくれよー。

頼むよ。

洗い物

仕事を始めようにもまだオフィスが出来上がってないし、

新年早々会議をしようと思って出かけても、メンバーが全員出張中でもぬけの殻。

そうそう。

あんまりスムーズにいくと逆に心配になるアフリカ。

まぁ、こんなもんでしょう。

関係者に連絡付くだけいいとするか。

 

仕方ないので家でオフィスワークをする。

しかし気づくと台所がいっぱいになって、しょっちゅう洗い物ばかりしている気になる。

もー、また皿洗い?一日中洗い物してる気がする!一人暮らしなのにぃ~!
と苛立つが…ふと気づく。

 

いや、待てよ?
洗い物が出るってことは・・・?

食べてんじゃん!(*´▽`*)

それだけなんか食べてんじゃん!

 

やっぱ自宅勤務は危険。

早くオフィス出来上がってくれ。

そしてプロジェクトメンバーよ。

早くカンパラに戻ってこーい。

ためらう指

新型コロナウイルスの感染を避けるための国外退去という名のもとに

4月18日に日本政府のチャーター便に乗り、ウガンダを離れ日本へ。

12月になり、8か月ぶりにウガンダに戻れることになった。

ワークパーミット就労ビザ)が更新中のままでの再入国となる。

在日ウガンダ大使館にも相談し、とりあえずのシングルエントリー(Tourist)で入国し、

あとの手続きはウガンダに帰ってからやることに。

 

e-visaのサイトに入って、データを入力し、パスポートのバイオデータのページ、6か月以内のパスポート写真、黄熱病ワクチン接種証明書(俗にいうイエローカード)をpdfファイルとして添付して申請完了。

最後は支払い。

ウガンダも普通にキャッシュレスの波を受け、ビザ代50ドルはクレジットカードで支払う。(手数料込みで51ドル)

ところが、いつもAmazonなどの注文では全く問題ないオンラインでの支払いが出来ない。

さすがアフリカ…

と、色々なことが一筋縄ではいかない日々が蘇る。

もう一度やる。

やはり入れない。

こうやって何度もやった分が実はあとで全部引き落とされることもあるのでここでいったん中止。

 

週明けクレジットカード会社に電話すると、

「ああ、確かに…不審な支払いとしてブロックされています」

と言われた。

 

不審(笑)

 

本人がいつも通りやってるのに…

高額じゃないのに…

なんでですかねぇ?支払先がアフリカで、日本時間の深夜に支払いをしたからでしょうか?と聞いたら

「えっと…お客様の操作にためらいといいますか、躊躇してる様子を感知した為と思われます」

との答え。

 

えっ?

そんなの感知するんだ。すごいな、今どきのAI。

ん?AIなのか?

 

まぁ、答えは、多分入力までに時間があった+初めての振込先+振り込もうとした時間が日本時間の深夜3時とかが原因したとは思うけど。

 

いや!帰国をためらってなんかないぞ!

ウガンダの自分の家に帰るんだ!

二匹のワンコと住み込みの庭師君が待っている。

収入は厳しい生活が予想されるけど、やる仕事はめちゃくちゃ面白くなるはずなのだ。

ためらうことなどあるもんか~。

 

いざ、ウガンダ

ウガンダ出国 その1(家を出る)

ついにこの日が来た。

明け方までふらふらと荷物をまとめていたが、お迎えの車の到着に

「いよいよか…」

という悲しさと、もうこのまともじゃない日々が終わるという安堵感がまじりあった複雑な感情が生まれる。

 

いつ帰れるかわからない。

先が全く見えない。

COVID19に勝利宣言目前のウガンダを出て、今まさにこれからピークを迎える日本へ向けて出発する。

なんなんだろう、これは。

 

でも自分には日本に帰る理由がある。迷いはないはず。

ただ、いつウガンダに帰れるのか、犬たちのことだけが心配。

緊急帰国や国境閉鎖で逆に日本からウガンダに戻れなかった…などの理由で、

飼い主さんたち的には不本意ながらもウガンダに置き去りになっていたワンコ2匹を
火曜日迄預かっていたが、
自分の出国に合わせて、なんとか別のお家に預けることが出来た。

よかった。

しかし今、その飼い主さんたちの辛さや不安が今度は自分の物に。

置き去りにする。

なんと心の痛むことなんだろう。

 

いつもなら名前を呼べばすっ飛んでくる2匹が

「どうせ置いて行っちゃうんでしょ?」

と言わんばかりに顔をあげない。

地面に伏せて目を合わせない。

わかってるね。さすがワンコ。

そう、今回は非常事態。次はいつ会えるかな。

 ここ数日、片づけでひっくり返ってる家の中を不安そうに眺め、

いつも以上にまとわりついてきていた。

私が出かけられないように車を見張ってた日もある。

 

ぎゅっと抱きしめて「ごめんね。必ず戻るよ。」と言って家を出る。

餌は沢山買った。

家もこの子らのために残していく。

お世話にお兄さんも住み込みでいてくれる。

今の私にできる精一杯。

国外退避の長い旅が始まった。